欲望 (1967年英) 史上最高にスタイリッシュな映画
実は妻のひたぎは、とある服飾系の有名専門学校を卒業している。
今でこそ落ち着いているが結婚前は毎月給料のほどんどを洋服につぎ込むほどオシャレが大好きな人間だった。
まあ、現代であればファストファッションの台頭により、お金を掛けずにオシャレを楽しむことができるが、昔はファッションといえば金の掛かるものだった。
そんなひたぎと一緒に見たのが今作「欲望」である。
ちなみにこの映画の海外名はBlow-up。意味は“引き伸ばし”だ。
公開 1967年6月3日
上映時間 111分
製作国 イギリス
製作費 $1,800,000
監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
出演 デヴィッド・ヘミングス
ヴァネッサ・レッドグレイヴ
この映画を見たのは30代前半の時ですが、なんてカッコイイ映画なんだろうと思いました。
オシャレにはまったく興味のない自分ですが、この映画には心底惹かれました。
とりあえず主人公は写真家なんですが、それ以外は物語では明らかになりません。
行動も不可解で、アンティークショップで目的不明にプロペラを買ったり、とあるライブ会場で群衆の中からやっとの思いで手に入れたアイテムを道端に捨てたりします。
茂みの中に拳銃のような物が見えるのだ。
そして写真をさらにBlow up(引き伸ばし)すると今度は画像が粗くなり何だかわからなくなる。
もちろん、今作はある種のサスペンスで括られるような単純な話ではないし何とも不可解で難解な映画である。
よく「考えるのではない。感じろ」といった謳い文句があるが、まさにそれだと思う。
もう、最初から最後まで主人公の行動やストーリーが不可解なのだが、とても心地良い何かを感じた映画であり、これほどスタイリッシュな映画を見たのは初めてでした。
この映画が登場したのは1967年なので今からなんと48年前。
日々流行は変化し、最新のファッションというものが世間では常に取り沙汰されているが、今見ても全く色褪せないしむしろ現在以上に惹きつけられました。
今生活していても、たまに脳裏によぎるし、恐らく死ぬまで頭から離れない映画ですね。
ただ、妻のひたぎは映画を見たあとにこんな言葉を投げ捨てました。
「オシャレ過ぎてカンに障る…」